苗場、湯沢、熱海・・・投売りリゾートマンションはなぜ安い?

「豪華なリゾートマンションが投売り状態」だと、最近メディアでも頻繁に見るようになりました。

もし東京都内にあれば5000万円以上はしそうな豪華なマンションが、今なら20万円~300万円くらいで買えるというので、ジワジワ注目を集めているみたいです。

さすがに20万円台の物件となると「あと何年住めるんだ・・・」というくらいボロっとした物もあるそうですが、200~300万円台になると作りもしっかりしている上に、温泉やジム、パーティルームなど付帯設備も豪華で、一見ピクリと食指が動きそうな魅力があります。

これらの格安で販売されている物件は、バブル期にピークだったリゾートマンションブームの負の遺産ともいえるマンション群であり、かつては「東京都湯沢町」などと呼ばれていた土地も、今ではスキーブームも去り、寂れた町になってしまったようです。

もしこれを本来の使い方である別荘としてではなく、住居として考えた場合、もしやお買い得ではなかろうかとチラっと考え調べてみましたが、やはりそう上手くはいかないもので、一見超お買い得に見える物件も、よく調べてみるとそうでもない事が分かってきました。

1.物件価格は安くても、持ち主が固定費を滞納している場合がある
そもそもなぜこんなに安いのか?それは持ち主が一刻も早く手放したがっているからです。

それはなぜかと言えば「固定費をもう払いたくない」という理由がほとんどらしく、バブル期に景気の良かった持ち主の中には、延々と続く毎月の管理費や固定資産税さえ払うのがしんどい、という人もおり、そういう場合、物件によっては新しい持ち主が滞納分を支払わねばならないケースもあるそうです。

怖いのはこの滞納分が数百万円にものぼる場合もある事で、あまりにも安い価格の物件は要注意と言えます。

2.毎月かかる費用がまあまあ高い&修繕が心配
激安物件を何年も腰を落ち着けて暮らす家とした場合、バカにならないのがマンションの管理費と修繕積立金です。

これは付帯設備にもよりますが、まあまあ豪華なマンション、気持ち良く暮らせるレベルに手入れが行き届いている物件となると、毎月3~4万円ほどかかるようなので、購入後も地方都市のワンルームの家賃くらいの支払いは毎月生じます。

また現在の所有者の皆さんによって、きちんと修繕積立金が払われていない場合、大規模修繕が出来なかったり、居住者に多額の負担が生じる可能性もあるようです。

3.高齢者の孤独死があったり・・・
上記の点を鑑みると、いくら価格が安いと言っても若い人にはデメリットも多いリゾートマンションですが、これが人生がもうさほど長くない(ごめんなさい)高齢者にとってはメリットが多いという話になってきます。

物件購入価格が安く、所有してしまえば追い出される心配もない(高齢の方が賃貸物件を借りるのは年々大変になる)、引っ越してしまえばどうにか年金でも暮らせる、大規模修繕が必要な頃には多分もう・・・という事で、特に一人身の高齢者の購入&居住が増えているそうです。

そういう方がお元気なうちは良いですが、高齢者の定住が増えるにつれて病気になった際の対処や孤独死で発見が遅れるなど、新たな課題もチラホラと生じつつあるようです。

もし自分のお隣でそんな事があったらと思うと、気持ち的にしんどくなるのが目に見えています。

4.売りたくても恐らく売れない
一番恐ろしいのはこれで、現所有者の方々がびっくり価格で投売りされているのも、結局こういうことではないかと思います。

売れなければ、いらない物件でもずーっと固定費を払わねばならない・・・。

それを思うともし自分が買った後はどうなるか、考えないでも分かります。

老朽化しても建て替え出来ない、固定費はずーっとかかる、ボロくなってますます売れない。

となればもう本物の負動産、とても庶民に耐えられるものではありません。

というわけで、確かに設備に比べて売り出し価格はものすごく安いですが、諸々考え合わせると、やっぱり定住には厳しいと言わざるを得ませんでした。

まあ相場より驚くほど安いということは、それなりに理由があるということですね。